教育資金の一括贈与非課税制度は、30歳未満の子や孫等が、教育資金に充てるため、
父母や祖父母など直系尊属から、金融機関の口座等の開設を通して、最大1,500万円
(うち学校等以外への支払いは500万円まで)贈与を受けても贈与税が非課税となる制度ですが、
このたび下記の追加がありました。
①教育資金の使途の範囲に、通学定期券代、留学渡航費、入学等の転居の交通費を追加
②金融機関へ提出する領収書等に記載された支払金額が1万円以下で、かつ、
その年中の合計支払金額が24万円までのものは、その領収書等に代えて、支払先、
支払金額等の明細を記載した書類を提出できる(2016年1月から適用)見直しを行い、
その適用期限が2019年3月31日まで延長
*通勤定期券代は、通常の通学に使用する定期券代、スクールバス代(通学定期券)が対象で、
購入した際の領収書、通学定期券の写しの2点を提出する必要があります。
*別の経路の切符代や交通系電子マネーのチャージ代、
自転車通学の際の自転車代や駐輪場代などは対象外となります。
*スクールバス代は、業者に通学定期代として支払う場合に認められます。
*回数券等は対象外ですが、学校に直接支払う場合は1,500万円の非課税枠の対象となります。
*留学渡航費については、1留学1往復(合理的経路)しか500万円の非課税枠を利用できず、
その証明書類は厳格化されております。
具体的には、
①領収書
②留学先の学校の入学許可証や在籍証明書などの就学証明書
③航空券の写し、e-チケット、搭乗証明、旅程等の渡航経路を確認する書類の全てを提出する必要があり、
上記3点が揃っていない渡航費や空港までの交通費は対象外となりますので、ご注意ください。
入学・転入学・編入学に当たっての転居に伴う1往復(合理的経路)の交通費も500万円の非課税枠の対象となります。
証明書類には、
①領収書
②入学する学校等の就学証明書
③乗車券の写しや購入履歴の印刷等移動の経路を証明する書類
④転居元の住所を証明する住民票等の4点全てが必要で、この4点が揃っていない交通費や、
親の転勤に伴う転校で転居する場合の交通費は認められませんので、あわせてご注意ください。
◆マイナンバー制度への対応
マイナンバーの個人番号は、今年10月より住民票の所在地に送付される
通知カードにより通知されます。
平成28年1月以降は希望すれば市区町村窓口で顔写真付き個人番号カードを申請することもできます。
会社は来年以降の社会保険事務や源泉徴収事務のため、
10月以降に個人のマイナンバーを収集し、その際通知カード+顔写真付き身分証明書の提出を以て
本人確認をする事となっています。
但し雇用関係があり本人に相違ない事が明らかな場合や個人番号カード提示時は
本人確認書類は不要です。
◆今後、会社が行う事
1.9月までに担当部署、担当者を決定する…マイナンバーの取り扱い部署、
担当者、責任者を決める(経理部や人事部等)
本社以外に支店等がある時は支店で収集窓口となる人も担当者となります。
担当者以外は取り扱いしないようにし、また、秘密保持誓約書を取る場合もあります。
2.取扱規定や就業規則を策定します。
3.安全管理措置を策定します。
4.社員説明会を開いたり、従業員にマイナンバー実施と収集の目的を示した
番号報告の依頼書を通知したりします。
扶養親族については年末に扶養控除等申告書に記載してもらう事で事務の簡素化になります。
扶養親族の本人確認は従業員自身にあります。
会社は国民年金第3号被保険者の手続き以外、扶養親族の本人確認は不要ですが、
会社からの委任状で番号を提出してもらう方法もあります。
5.10月以降マイナンバー収集の際は直接なら封筒に通知カードの写しを入れ、
通信で行う時はメール(パスワード設定)か簡易書留で行います。
マイナンバーを通知されたら授受の記録を残しておきましょう。
◆28年1月以降マイナンバーを記載する書類
雇用保険資格取得届・喪失届、継続給付請求、労災の給付申請、
退職者給与の源泉徴収票 年末調整事務等
◆29年1月以降の事務
社会保険の資格取得届・喪失届、育児休業関連、療養費、
傷病手当等の給付請求、氏名変更、住所変更等
税分野では平成28年分の税務申告や給与支払報告書、法定調書、支払調書等
マイナンバーを記載した書類は法定保存期限が過ぎたら確実な方法で廃棄をすることとなっています。
テレビ番組の制作や劇場運営などを手掛ける吉本興業が、資本金を125億円から1億円へ
減資するそうです。
「大企業」から「中小企業」になることで税法上の優遇措置を受ける狙いがあるようです。
同社は今年3月末時点で利益剰余金がマイナス140億円、税引前損益が29億円の赤字となるなど、
苦しい経営状態が続いていました。
資本金が1億円以下の企業は税法上、「中小企業」として扱われます。
法人税は本則25.5%ですが、中小企業には800万円以下の所得については
19%の軽減税率が認められており、現在はさらに租税特別措置法で15%の税率が
適用されています。
また業績にかかわらず従業員数や資本金に応じて課税される外形標準課税も、
中小企業は課税対象に含まれません。
そのほかにも欠損金の繰越控除制度や雇用促進税制など、
多くの税目で中小企業には優遇が用意されています。
そのため、今年5月には大手電機メーカーのシャープが99%の減資をして
資本金を1億円にする計画を進めていましたが、経産相が「税制優遇を利用するために
減資するというのは違和感がある」とコメントするなど批判が相次ぎ、
最終的に税法上の「大企業」として扱われる5億円への減資に落ち着いた経緯があります。
吉本興業は今回の減資について、「中長期的な視点で、資金を有効な投資に振り向けていくため」
として税優遇目当てとの見方を否定しました。
しかし、社会的に名前の知られた有名企業が中小企業税制の適用を受けることに対しては反発の声も上がっているようです。
遺言に基づいた相続であれば残された家族の税負担が軽くなる
「遺言控除」の新設が検討されています。
相続税は遺産相続額から基礎控除額(3千万円+法定相続人の数×600万円)
を差し引いた上で税率をかけて算出されます。
遺言控除はこの基礎控除額に上乗せする形で税負担を軽減するもの。
制度設計の詳細は今後明らかになりますが、控除額は数百万円を軸に検討されているようです。
新しい控除制度は自民党の「家族の絆を守る特命委員会」が開いた会合で提唱されました。
遺言作成を促進することで「争族」を防止するのが狙い。
出席議員からは肯定的な意見が相次いだそうです。
しかし、新たな控除の上乗せは減税となるうえ、防止効果自体を疑問視する向きもあって、
実現へのハードルは低くはなさそうです。
遺言には、自筆の遺言書などのほか、遺言を残したい人の話を公証人が筆記して作成する
「公正証書遺言」があります。
公正証書遺言は公文書で、自筆よりも不備などの恐れが低くなっています。
作成件数は増加傾向にあって、昨年は年間10万件を突破しました。
この遺言作成手数料は遺産額に応じて決まります。
公正証書遺言は客観性が高い一方で一定のお金がかかるため、
何らかの税制上の措置を設けるべきとして遺言控除の創設が求められました。
◆平成27年5月「空き家対策法」全面施行
平成27年5月「空き家対策法」(空家等対策の推進に関する特別措置法)が施行されました。
日本の空き家の数は820万、空き家率は13.5%に上り、増加傾向にあると言われています。
管理が不十分な空き家は、火災の発生や家屋の倒壊、衛生面や景観面の悪化等も懸念されます。
このような状況を受けて登場した「空き家対策法」ですが、税金にもいろいろな影響を与えています。
◆固定資産税 特定空家の住宅用地特例除外
「空き家対策法」では「周辺の生活環境の保全を図るために放置することが
不適切な状態にある空家等」を「特定空家」と定義して、その所有者に対して必要な措置を取るよう
市町村長が助言・指導・勧告・命令等をできることとなりました。
これを受けて、同法の勧告の対象となった「特定空家」の敷地については、
「住宅用地の特例」(価格に1/3~1/6の率を乗ずる特例)の対象から除外する措置が取られました。
場合によっては、固定資産税が今までの6倍となる物件も出てくることが予想されます。
◆所得税「空き家補助金」と所得税の関係
また、「空き家対策法」施行前から、既に空き家の有効利用を進める観点から、
空き家の取得・リフォーム・解体費用の一部を補助金として給付する自治体がありました。
この補助金を一般個人が取得した場合には、一時所得として課税されます。
ただし、空き家の取得・リフォームに伴い取得する補助金には「国庫補助金等の総収入金額不算入」(申告要件あり)、
解体費用に伴う補助金には「移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入」(申告要件なし)の規定があり、
いずれの「空き家補助金」にも課税されない制度が設けられています。
また、金融機関から融資を受けて空き家を取得した場合の住宅ローン控除の適用については、
取得対価から「空き家補助金」を控除して計算することとなります。
◆譲渡の場合「3,000万円特別控除」不可
かつて居住していたが、一定の年数、空き家となっている物件を譲渡した場合には、
譲渡所得(所得税)の「住宅用財産の3,000万円の特別控除」の特例の適用を受けることはできません。
そのため、古い物件であっても「空き家」の処分時に譲渡所得が生ずることが免れないケースも増えてくると思われます。
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