◆結婚・子育て資金の一括贈与の非課税創設
平成27年4月より「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税」制度がスタートしています。
こちらは「教育資金の一括贈与」の「結婚・子育て」版です。
信託協会によれば平成26年12月現在の教育資金贈与信託の契約数は101,866件、
信託財産設定額合計は6,973億円だそうです。
「高齢者資金を若年世代に移転する」という政策意図に見事にはまったものといえるでしょう。
このような「成功例」もあり、今回の税制改正で「結婚・子育て資金」の非課税制度の創設をみた訳です。
◆「通常額」を「その都度」支出する場合
もともと、扶養義務者から「生活費」又は「教育費」として贈与を受けた場合には、
①金額が通常必要と認められるものであり、
②必要な都度、「生活費」「教育費」に充てられるものについては、贈与税の非課税とされています。
子・孫が父母・祖父母から婚姻後の生活を営むために通常必要とされる家具什器等の
購入資金とするために贈与した場合もこれにあたります。
また、結婚式や披露宴の費用を親などが負担した場合も、式・披露宴の内容や招待客との関係、
地域の慣習の事情に応じて、本来負担すべき者に分担されている場合には、贈与に当たらないこととされています。
◆「一括贈与」のニーズの高まり
ただし、「将来の結婚のために渡しておきたい…」という場合には、
「通常額」を「その都度」という要件にあたらないため、贈与税の課税対象となってしまいます。
このような「一括贈与」を対象として設けられたのが今回の非課税制度です。
20歳以上50歳未満の方が「結婚・子育て資金」に充てるため、
金融機関等との一定の契約に基づき、直系尊属(父母や祖父母)から
①信託受益権を付与された場合、
②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預け入れた場合、又は
③書面による贈与により取得した金銭等により証券会社で有価証券を購入した場合には、
それらの価額のうち1,000万円までの金額については、金融機関等の営業所等を経由して
「結婚・子育て資金非課税申告書」を提出することにより贈与税が非課税となります。
倒壊の危険性や衛生的な問題がある空き家(特定空き家)に対して、
自治体が解体の行政代執行をできる規定を盛り込んだ「空き家対策措置法」の
全面施行を前に、勧告や代執行の対象になる「特定空き家」の判断基準案を
国土交通省が明らかにしました。
特定空き家への国の取り組み方針を規定した「空家等対策の推進に関する特別特措法」
(空き家対策措置法)の一部が2月26日に施行され、自治体は空き家の所有者を迅速に特定するため、
固定資産税の課税情報を利用できるようになりました。
そして空き家対策措置法は5月26日に全面施行されます。
全面施行後は、自治体が特定空き家の所有者に対して、除却・修繕・立木の伐採といった助言、
指導、勧告、命令ができるようになります。
さらに、改善を促したにもかかわらず放置を続けた場合には行政代執行による
解体も認められます。
解体費用は取り壊し後に改めて所有者に請求することになるそうです。
空き家の所有者は税負担がこれまでの6倍になる可能性も考慮しなければなりません。
地方税法上、家屋が建っている敷地は「住宅用地」として敷地200㎡以下の部分の
課税標準額が更地(固定資産税評価額)に比べて6分の1になる特例があります。
たとえ空き家であってもこの特例は適用されるため、解体費用だけではなく税金面の負担も考えて、
空き家のまま放置している持ち主は多かったのです。
しかし空き家対策措置法では、この税優遇を一定の空き家には適用しないという改正を盛り込みました。
行政の指導や勧告、解体命令の対象になる特定空き家に該当するかどうかの判断基準は、
国土交通省がこのほど公表した資料「『特定空家等に対する措置』に関する適切な実施を図るために
必要な指針(ガイドライン)(案)」で明らかになっています。
これによると、「ネズミやハエ、シロアリの大量発生」「多数の窓ガラスが割れたまま放置」
「外壁が目視でも確認できるほど脱落しそうな状態」などの場合に特定空き家として判断されることになりそうです。
◆ふるさと納税をしている人が増えている
ふるさと納税制度は納税者が、住んでいる場所以外の自治体に寄付し、
寄附金控除として後に税金を軽減する、つまり住んでいる場所の他に納税できるという制度です。
各自治体が「寄附のお礼」として、地元の特産品を提供し、「寄附したお金は税金を払った
扱いになる上、物が貰える」という事で、あまり節税対策等に縁が無かったサラリーマンを中心に、
お得な制度として近年脚光を浴びています。
平成20年に寄附した人(確定申告者ベースで換算)が約3万人だったのに対し、
平成25年に寄附した人は4倍強の約13万人となりました。
寄附の総額を比較してみると、2倍止まりとなっている事から、控除可能額は個人の税額に比例するため、
裾野が広がり、寄附している所得層が拡大しているように感じられます。
◆税制改正でさらに利用増加か
寄附者の増加は、今年の税制改正でさらに勢いがつきそうです。
住民税寄附金税額控除の特例分が、旧来は住民税所得割額の1割が上限でしたが、2割へと引き上げられました。
今まで少額しか控除されなかった方、たとえば年金暮らしのお年寄りの方でも、
控除上限までの寄附をして、お礼の品が貰えるようになりました。
◆自治体も工夫をしている
魅力ある「お礼の品」もさることながら、目的別の寄附を募る自治体も増えています。
美術館の新設や、桜の保護、犬の殺処分をゼロにする、商店街のにぎわいを取り戻す、
ハンドボール中学選手権の存続、難病治療研究等、ふるさと納税の寄附によって、
地元NPO法人や各団体とタッグを組み、魅力ある街づくり、社会的意義の高い寄附を目指しています。
もちろん、地場産業を支えるお礼の品の提供も、立派な地域振興ですが、
自治体が国民に取り組みをアピールするという、総務省が掲げるふるさと納税の意義を鑑みると、
自治体にはクラウドファンディング型の寄附プロジェクトを、もっと考えて、増やして欲しいところです。
◆会社の休眠とは?
営業を現在はしていないが、いつか営業を再開するかもしれない。
そんな会社を「休眠」させる事ができます。
「異動届出書」に休眠である旨を書き、税務署・都道府県税事務所・市役所に提出する事で、
休眠会社にする事ができます。
◆休眠のメリット
会社の休眠は、会社の解散に比べて、清算手続をしなくて済みますので、圧倒的に手続きが簡単です。
休眠中も税務申告を行う必要がありますが、当然休眠中ですから、
損益ゼロという場合もあるでしょう。
実際には休眠中は税務申告をしないケースも多々あるようです。
しかし、税務申告をしないと、青色申告が取り消されたり、様々な許認可や、
復活後の取引に影響が出ることもありますので、いずれ復活させたいと考えるなら、
休眠中も申告をした方が良いでしょう。
また、休眠中の法人でも、地方税の均等割は支払わなければならないのですが、
まったく事業を行っていない(銀行の預金もない場合など)と認められれば、均等割を免除されるケースもあります。
◆休眠から12年でみなし解散
株式会社であって、最後の登記の日から12年を経過すると、
「事業を継続している場合は、公告及び通知の日から二カ月以内に事業を廃止していない旨の届出を
本店所在地所轄の法務局に提出すること」を要請されます。
この届出をしないと、法務大臣が解散したとみなす事ができます。
解散登記がなされて放置しておくと、3年後に清算結了登記がなされて、会社自体が無くなってしまいます。
登記されている本店所在地に「廃止していない旨の届出の提出」の要請が来るので、
登記や税務申告を放置して本店移転をしていると、公告・通知がなされた事もわからないといった場合があります。
◆休眠から目覚めさせる時
休眠状態の会社を復活させる際は、休眠時と同じように税務署・都道府県税事務所・市役所に届出を提出します。
休眠中、無申告であった場合は青色申告が取り消されていますので、
事業年度開始時に青色申告の申請を忘れないようにしましょう。
◆高齢者層から若年世代への早期移転
近年の資産税は「高齢者層から若年世代への財産の早期移転」を促す改正が相次いでいます。
特に平成27年からは、「直系尊属」から「直系卑属」への贈与について大胆な軽減措置がいくつも施行されます。
◆特例税率~直系尊属から成人者への贈与
まず、平成27年1月からの贈与から既に適用されている「特例税率」が挙げられます。
平成27年分以後の贈与税率は、「一般税率」と直系尊属から20歳以上の者への贈与に対する
「特例税率」の2つに区分されました。
この「特例税率」は「一般税率」に比して累進度が緩和された軽減税率です。
◆住宅取得等資金の非課税制度の延長・拡充
また、平成27年改正では「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」措置が
平成31年6月までに延長されるとともに非課税金額も拡充されています。
今回の改正の特徴は、「住宅取得資金非課税限度額」(消費税8%契約・中古住宅の個人間売買)と
「特別住宅取得資金非課税限度額」(消費税10%契約)の2つの非課税枠が設けられたことです。
これは消費税率改訂時の住宅需要へのインパクトを緩和するために消費税率10%が適用される
契約がされる時点での贈与について別枠を設けたものです。
このような非課税限度額が「8%契約」「10%契約」と別枠で設けられていますので、
8%契約で購入した家屋を、後に10%契約でリフォームした場合等はこの非課税枠を「ダブル」で適用することができます。
◆結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税
また、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」制度の
「結婚・子育て」版が設けられました(平成27年4月以後の贈与から適用)。
こちらは、直系尊属が子・孫等の結婚・子育て資金を金融機関に信託・預入等をした金額のうち
1,000万円までは非課税とする制度です。
◆複数の非課税制度を適用した場合
これらの「直系尊属」からの贈与の特例を最大限適用した場合、教育資金贈与非課税(1,500万円)+
結婚・出産資金贈与非課税(1,000万円)+住宅取得資金非課税(H27優良住宅・1,500万円)+
特別住宅取得資金非課税(H28.10~H29.9・優良住宅3,000万円)=7,000万円が非課税となります。
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