子や孫などの直系卑属への贈与を非課税にする特例が、大幅に拡充される見通しです。
平成27年度税制改正大綱によると、マイホーム購入資金や教育資金に関する贈与を
一定まで非課税とする特例はそれぞれ期限が延長されます。
また、新たに、結婚・出産・育児に使う資金の贈与についても非課税特例が設けられます。
税制改正大綱では、「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」として記されています。
信託などの機能を使って結婚や妊娠、出産、育児の費用を一括で子や孫に贈与した場合に
1千万円までを非課税にするもので、対象になる受贈者は、平成27年4月1日~31年3月31日に
贈与を受けた20歳以上50歳未満の人。
50歳になったときに使い残しがある場合はその部分に贈与税が掛かります。
非課税額1千万円のうち、結婚に関するものについては300万円が上限です。
政府には、高齢者が抱える資産を若年層に移動させて、
経済的な理由から結婚・出産をためらう若年層を支援したい狙いがあるそうです。
また、消費を後押しすることも狙いのひとつです。
1650兆円に及ぶ個人金融資産の6割は、65歳以上の高齢者世帯が保有しているといわれますが、
なかなか市場に出回らない〝眠っている個人資産〟を若年層に移転させ、
お金を使ってもらうこと自体が制度創設の目的でもあるわけです。
平成25年の被相続人数(死亡者数)は126万8436人で、このうち相続税の課税対象となったのは5万4421人でした。
課税割合は4.3%。前年から0.1ポイント上がっています。
相続税の納税者である相続人の数は13万545人でした。
国税庁が公表した資料で明らかになったものです。
相続税の課税価格は全体で11兆6253億円。
この課税価格とは、相続財産価額から被相続人の債務・葬式費用を控除し、
相続開始前3年以内の被相続人から相続人への生前贈与財産価額と、
相続時精算課税適用財産価額を加えた額を指します。
そして税額は、全体で1兆5367億円でした。
被相続人1人あたりでは、課税価格の平均は2億1362万円、税額は2824万円でした。
相続税は平成27年に最高税率が引き上げられ、一方で基礎控除額が引き下げられました。
基礎控除額は定額部分が3千万円、比例部分が600万円×相続人の数であるため、
課税ラインは「財産3600万円」です。
このことで課税対象者が増えるのは間違いなく、その数は5割増しになるとも言われています。
今回のデータを単純計算で1.5倍にすれば、課税対象となる被相続人数
(納税額が発生する相続税の申告書に掛かる人数)は8万2千人、
納税が求められる相続人は19万6千人に増えることになります。
「相続申告20万人時代」が目前に迫っているといえるかもしれません。
◆扶養控除の適用要件
扶養控除の適用要件は、
①配偶者を除く年齢16歳以上の親族(法令の規定に基づく児童等も含む)、
②親族の年間の合計所得金額38万円以下、そして、
③納税者と同じ家計で生活する、の3つです。
この3つの要件ですが、納税者の自己申告であり、適用にあたっては、特にその事実を証明すべき書類、
例えば、親族であることを証明する戸籍謄本等、所得を証明する源泉徴収票等、
そして、同居以外の場合、同一家計での生活を証明するための、送金の事実を証明する書類等の提出は不要となっています。
◆国外居住者の扶養親族
扶養控除の適用可否について、対象となる親族が国内に居住していれば、
上記の3要件を確認することはそう難しくありませんが、対象親族が国外に居住しているとなると、
その確認は容易ではありません。
要件の1つである、合計所得金額38万円以下の判定に関しては、その親族が我が国で得た所得、
すなわち国内源泉所得だけで判定しますので、その把握はそう困難ではありません。
しかし、親族の証明、親族への生活費の送金事実の証明となるとなかなか厄介です。
国際結婚で国外に親族がいるようになった場合、我が国のように戸籍制度が確立していれば、
親族であることを証明すべき公文書のような書類の提出を求めることもできますが、
制度が整備されていないとすると、その信用性が担保できません。
また、同じ家計で生活していることの証明ですが、生活費の海外送金などの明細書等があれば問題ないのですが、
現地で直接現金で渡した場合などは、その事実を客観的に証明することは困難です。
◆平成27年度の税制改正の行方
外国人と結婚した日本人や海外に親族を残して日本で働く外国人の扶養控除の実態を会計検査院が調査したところ、
不確かな状況で扶養控除を受けている事実が散見され、中には扶養控除額だけで300万円超受けていた人は140人もいたことが明らかになり、
新聞報道でも話題になりました。
そこで、財務省は、平成27年度の税制改正で、その適用を厳格化すべき方針を固めたようです。
その内容ですが、親族が確認できる書類や送金明細書の添付の義務化等が挙げられています。
◆社会保険 労働保険 給与計算 労基法等の届け出や事務作業
総務・人事管理者には年間を通して行わなければならない届け出や事務があります。
手続きだけでなく保険料率の改定や税率の改定、申請期限なども考えて適正な事務処理を行う為には
予定表等で管理しておくとよいでしょう。
◆社会保険、給与担当者の年間スケジュール
( )内は期限 役所休日の場合は翌日期限
1月 ・労働保険料第3期納付 (1/31)
・平成27年分扶養控除等(異動)申告書、給与支払い報告書を市区町村役場へ提出 (1/31)
・源泉徴収票、報酬等支払調書を税務署へ提出 (1/31)
(平成27年1月末は土曜日の為2/2期限)
2月 ・新年度の計画を立案(給与改定等)
3月 ・健康、介護保険料率改定(料率は各都道府県、健保組合で異なる)
4月 ・健康、介護保険料率改定額徴収
6月 ・夏季賞与を支給する場合は準備
・住民税、特別徴収新年度分開始
7月 ・健康保険・厚生年金保険月額算定基礎届を年金事務所又は健保組合に提出 (7/10)
・労働保険料・概算確定保険料申告書を労働局に提出納付 (7/10)
・高年齢者雇用状況報告書及び障害者雇用状況報告書を職安に提出 (7/15)
9月 ・厚生年金保険料率変更
10月 ・労働保険料第2期納付 (10/31)
・算定基礎届厚年保険料変更額徴収
11月 ・年末調整事務準備
扶養控除申告書、保険料控除、配偶者特別控除申告書を回収
・冬季賞与を支給する場合は準備
12月 ・年末調整事務を行い各人に源泉徴収票を渡す
その他 ・社会保険月額変更届 固定給変動後4ヶ月目に該当した場合提出
・賞与を支給した時、支払届を提出
・入社退社に伴う社保取得喪失手続
・社会保険料毎月末納付
・給与の源泉所得税毎月10日納付
・時間外労働協定届 原則年1回労働基準監督署に提出
◆本来の相続財産とみなし相続財産
死亡した者に係る給与等で未支給のものは本来の相続財産として相続税が課され、
被相続人の死亡後3年以内に支給額が確定した退職手当金等は、みなし相続財産として相続税が課されます。
なお、相続により取得するものについては所得税を課さないと法律は規定し、
相続税の課されるものについては、所得税の課税をしない、と二重課税の回避の趣旨が通達で明示されています。
また、別の通達では、相続税の課されない死亡した者に係る給与等、
公的年金等及び退職手当等については、一時所得として所得税を課すとしています。
◆相続不課税で一時所得となるもの
被相続人の死亡後3年を超えて支給額が確定した退職手当金等は、
みなし相続財産の規定外になるので、相続税課税対象外になるとともに、
その支給を受けるものの直接の所得となり、一時所得に分類されて、課税されます。
また、年金を受給していた者が死亡し、その死亡時点で未支給となっていた1~2ヶ月分の年金が、
請求によって配偶者等の指定した口座に振り込まれた場合、これも、受給した配偶者等の一時所得となります。
この未支給年金請求権については、遺族が自己の固有の権利として請求するものであることが、
国民年金法・厚生年金法に明記されており、かつ、相続財産とみなすとの規定がないので、相続税の課税対象にはなりません。
◆歯科医師会の死亡共済金も
昨年、平成25年12月12日に、歯科医師会共済制度に基づく死亡共済金は相続財産ではなく、
遺族の一時所得に該当するとの判決がありました。
この共済金の受給権は、死亡した会員が指定していた者
(指定した者がいない場合は法定相続人)にあり、被相続人の財産としての本来の相続財産ではありません。
また、みなし相続財産にも該当しません。
ちなみに、この共済掛金の性質は、中途返戻金のないいわゆる掛け捨てであり、
火災や重度の障害に対しても共済金が支払われることになっており、
掛金の内、死亡共済金の原資として積み立てられる直接の個別対応関係がないので、
一時所得の収入金額から控除する額はゼロとされています。
Copyright © 2013 Takada. All Rights Reserved.