◆次世代育成支援対策の一つ
厚生労働省は育児休業の取得を促すため、雇用保険制度の所得を補う
育児休業給付の拡大を決めました。
今までは原則、子が1歳になるまで給与の50%補償をしていましたが、
平成26年度から育休の当初半年間に限り、3分の2(67%)に引き上げます。
昨年の秋に給付の増額は方針が決まったのですが、次のように発表されています。
◆労働政策審議会報告の概要
「育児休業給付は育児休業を取得しやすくし職業生活を円滑の継続促進するために
雇用保険の失業給付の1つとして設けられている。(中略)
育児休業給付金受給者が増加していることから育児休業の取得促進に
寄与はしていると考えられるが、一方で収入が減るという経済的理由から
育児休業を取得しなかった男女とも一定程度は存在する。
特に男性の育児休業取得率は平成24年度において、
2%弱と伸び悩んでいる状況にあるが男性の育児休業を促進することは
男性のワークライフバランスの実現だけでなく、女性の育児負担を軽減し、
女性が職場で継続して働き就業率向上にも資する。
夫の育児・家事時間が長いほど第2子以降の出生割合が高くなる傾向にあることから
育児休業促進による男性の育児参加の拡大は少子化対策にも資するものになる」
としています。
以上のような背景から今回の給付率の引き上げとなったのです。
◆男女共に育児休業を取得促進できるか
給付率は引き上げられますが、その率は出産手当金の水準を踏まえ
育児休業開始時から6か月間について67%の給付率とすることになっています。
この率は育児休業給付が非課税であること、休業期間中は社会保険料免除措置があり
休業前の税・社会保険料控除後の賃金と比較して実質的な給付はさらに高くなるという計算です。
出産、育児に関する支援措置は労働基準法、育児・介護休業法、雇用保険法、
厚生年金保険法、健康保険法等多岐に絡んでくるので複雑で全体を把握するのは面倒です。
受給率引き上げが必ずしも取得率向上となるかはわかりませんが、
受給者のメリットは増えます。
しかし企業側では取得者が増えると事務面の煩雑や人のやりくりも大変になるという面もあり、
現実的な問題も増えそうです。
消費増税と同時に「すまい給付金」がスタートしました。
すまい給付金申請窓口やすまい給付金事務局で申請受付・審査が始まっています。
住宅ローン利用者の負担軽減制度には住宅ローン減税があります。
この減税制度は4月から拡充され、最大控除額(10年間)が200万円から400万円に、
住民税からの控除上限額が1年あたり9万7500円から13万6500円に増えました。
しかし、住宅ローン減税は納めている所得税から控除する仕組みであるため、
収入が低い人ほど効果が薄くなります。
そこですまい給付金制度は、住宅ローン減税拡充の負担軽減効果を十分に受けられない
収入層が対象とされています。
給付金を受けられるのは、住宅を取得して登記上の持分を保有するとともに
そこに居住する収入が一定以下の人。
住宅ローンを利用せずに即金で住宅を取得した人でも、
50歳以上で収入額の目安が650万円以下の人は対象になります。
給付額は、収入額の目安(都道府県民税の所得割額)で決まる
「給付基礎額」に不動産の「持ち分割合」を乗じて決めます。
具体的には、消費税率8%時は、扶養家族が1人の住宅購入者の場合、
年収425万円以下の人は30万円、425万円超475万円以下は20万円、475万円超510万円以下は10万円。
消費税率が10%に引き上げられたときは、給付対象の上限が775万円以下の人になるとともに、最大給付額が50万円になります。
住宅の要件は、床面積が50㎡以上であること、第三者機関の検査を受けた住宅であることなど。
「新築住宅」と「中古再販住宅」とでは一部要件が異なります。
平成26年4月以降に引き渡される住宅から、29年12月までに引き渡されて入居が完了した住宅までに適用される制度です。
厚生労働省は公的年金制度を見直す「財政検証」に着手し、
納付期限延長や適用者拡大の方向で話を進めています。
基礎年金(国民年金)保険料の納付期限の5年間延長などが柱です。
年内に改革案をまとめて来年の通常国会への法案提出を目指しています。
財政検証は、国民年金や厚生年金などの保険料から給付まで年金事業全体の収支について、
今後100年の「見通し」を5年に1度のペースで作成、公表するもの。
平成16年の年金制度改正で導入され、それまでの財政再計算と異なり、
経済動向などで保険料(率)を見直さず、保険料水準固定方式で行われます。
現在、保険料を20歳から40年納めると、65歳から月額6万5千円の年金が受け取れますが、
今回の改革案で厚労省は、納付期間を5年延長して65歳までとし、
さらに支給年齢も現行の65歳から67~68歳に引き延ばすとのことです。
また、制度の〝支え手〟を増やす策も盛り込まれました。
パート労働者が厚生年金に入るための条件を緩和し、
厚生年金加入者を増やすとのことです。
現在は従業員501人以上の企業に勤める人が対象ですが、改革案では中小企業も加え、
月5~6万円の収入がある、およそ300万人を新たに加入者にすることを検討します。
これまで加入できなかった非正規労働者などからの支持も期待しているようですが、
高額な保険料率のままスライドさせ、しかも給付が不安定な状況では
たんなる負担増に過ぎないとの意見も根強くあります。
これによって企業の負担は4千億円以上に膨らむとも見られています。
年金制度運営の失態という政治のツケを、また中小企業が被る可能性が濃厚になりました。
◆退職金制度の普及の為昭和34年に創設
国の中小企業対策として制定され、相互扶助の制度で退職金制度の普及や
中小企業の従業員の福祉の向上、企業の発展に寄与することを目的としています。
中小企業退職金共済制度は平成25年現在約36万4千事業所、330万人が加入しています。
◆制度の特色
①新規加入時の掛け金の一部が補助されます。
掛け金の2分の1、上限1人5千円までが加入後4か月目から1年間助成されます。
また、月額掛け金を増額すると(1万8千円以下の場合)増額分の3分の1を1年間助成されます。
②税法上の特典として掛け金は法人企業の損金、個人企業の必要経費となります。
③退職金は安全に管理され、退職した本人の口座に振り込まれます。
④従業員ごとの納付状況、退職金資産額を知らせてくれます。
⑤過去の勤務期間の通算(新規加入の際)
⑥中退共に加入していた他の企業からの転職では加入期間通算もできます。
◆加入の条件
加入できる中小企業は次の通りです。
①一般業種(製造業等) 常用従業員300人以下又は資本金3億円以下
②卸売業 従業員100人以下、又は資本金1億円以下
③サービス業 従業員100人以下、又は資本金5千万円以下
④小売業 従業員50人以下、又は資本金5千万円以下
従業員は原則、全員加入ですが有期雇用労働者などは対象としないこともできます。
又、役員の場合は従業員賃金も受ける等労働者として実態のある人は加入できます。
代表者は対象となりませんが事業主と同居の親族で生計を一にする人が
使用従属関係にある時は加入することができます。
◆掛け金について
掛け金は事業主負担で従業員の負担はありません。
月額掛け金は5千円から3万円の間で、将来受け取る退職金額から想定した掛け金を決めます。
パートタイマー用の低廉な掛け金もあります。
受給は一括で受け取るか、退職時が60歳以上であれば分割も選択でき、
一括受取は退職所得、分割受取は公的年金等控除の雑所得扱いとなります。
平成26年度の税制改正法が3月20日、参議院本会議で可決、成立しました。
いわゆる「高額給与所得者」や「富裕層」に対する増税の色合いが濃い内容となっているのが特徴です。
所得税は1年間の全所得から所得控除を差し引いた残りの額(課税所得額)から
税額が決定されますが、現在は年収1500万円超の給与所得控除額は245万円です。
この給与所得控除の上限が、平成28年1月からは年収1200万円超では230万円、
さらに29年1月からは年収1千万円超は220万円に引き下げられます。
財務省が試算した平成29年の負担増加分は、夫婦と子どもふたりの4人家族で
年収1200万円の世帯の場合は年間3万円、
年収1500万円以上の世帯だと年間14万円となっています。
そもそも給与所得控除額は、24年度税制改正で定額化されるまでは
上限が設定されていませんでした。
給与等の収入金額が1千万円超の場合の給与所得控除額は、
収入金額×5%+170万円で算出されていたため、収入の増加に単純比例して
給与所得から控除できる額が上がっていました。
しかし、24年度改正で年収1500万円超の人の給与所得控除額は245万円の「定額」とされ、
さらに追い打ちをかけるように26年度改正で上限が引き下げられます。
国は財源確保のため、年収1千万円超の人を「高額給与所得者」として狙いを定めているようです。
また、富裕層に所有者が多いゴルフ会員権の譲渡損失の損益通算もできなくなりました。
しかも新しい取り扱いは今年4月1日から。
年間の所得の状況を踏まえて制度を利用しようとしていた会員権所有者には大ダメージとなりかねない状況です。
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