◆トライアル雇用とは?
職業経験の不足等から就職が困難な求職者をハローワークから雇い入れ、
3カ月間の試行雇用する事でその適性や能力を見極めてから常用雇用へ移行することを目的とした助成金です。
今まで紹介元はハローワークが紹介した人が雇われた場合が支給対象者でしたが
2014年3月からは一定の要件を備えた職業紹介事業者や大学の紹介による場合も
支給対象者とされることになりました。
民間職業紹介事業者は「雇用関係給付金の取り扱いに係る同意書」を主たる事務所(本店等)の
所在地を管轄する労働局に提出しておくと、その取り扱いを行うことができます。
◆支給対象者の拡大
以前の支給対象者は主にニート・フリーターや母子家庭の母等でしたが、
それ以外に学卒で未就職者や育児等で離職後キャリアブランクのある人も対象とされました。
次のいずれかの要件を満たしたうえで、紹介日に本人がトライアル雇用を希望した場合に対象となります。
①紹介日時点で就業経験が無く職業に就くことを希望する者。
②紹介日時点に学校卒業3年以内で卒業後安定した職業に就いていない。
③紹介日前2年以内に2回以上就職や離職を繰り返している。
④紹介日前において離職期間が1年を超えている。
⑤妊娠・出産・育児を理由に離職し、紹介日前の時点で安定した職業に就いていない期間が1年を超えている。
⑥就職支援をするのに特別な配慮が必要な一定の該当者。
◆支給額と手続き
原則3ヶ月のトライアル雇用を行い、支給額は1人につき月4万円。
最長3カ月で12万円支給されます。トライアル雇用の選考中の人数は求人数の5倍までで、
それを超えた人数は対象になりません。
受給手続きは求人の際、トライアル雇用を受け入れる旨を申し出ておき、
雇い入れから2週間以内に実施計画書を提出します。
トライアルが終了した時は終了した日の翌日から起算して結果報告書兼支給申請書を提出します。
試行後常用雇用にならなかった時でも申請はできます。
欧州連合(EU)の欧州委員会は米アップル・米スターバックス・伊フィアット子会社の3社に対して
正式に税務調査を開始したと発表しました。
3社は、グループ会社を置いたアイルランドなどでEU法の規定以上の過剰な税制優遇措置を受け、
公正な競争を阻害した疑いがあるそうです。
アップルやグーグルなどの多国籍企業に対しては、米議会が租税回避行為の
可能性を指摘するなど批判が強まっていて、EUもその流れに沿って国際的な租税逃れの
追及に乗り出した形です。
欧州委によると、3社はそれぞれ、アップルはアイルランド、スターバックスはオランダ、
フィアット子会社はルクセンブルクで、各国の政府から不当な税制優遇を受けて
納税額を抑えた懸念があるとしています。
たとえばアップルがアイルランドに納めている法人税の実効税率は約2%となっていて、
欧州委はこうした税率の低さが、アップルとアイルランド政府の間での
「特別な税制優遇の合意」による疑いがあるとして、今後調査を進めていく予定です。
アップル社は欧州委の発表に対して「特例的な優遇措置をアイルランドの政府から受けたことはない」と発表。
アイルランド政府も「ルールに抵触していない」とコメントしています。
多国籍企業の多くは、グループ企業内でモノやサービスを取り引きして税率が低い国に
利益を移転する手法を取っており、税収を取りはぐれた各国の税務当局は
そうした企業の姿勢を「租税逃れ」として追及を強める構えを見せています。
◆長期存続の要因とこれから大事にしたい事
少し前の調査ではありますが、帝国データバンクの長寿企業調査で、
創業100年以上の企業に対し、「長期に存続してきた要因と今後重視したい事」のアンケートによると
要因の1位は「本業を中心とした経営と品質の保持」でありました。
2位以下は「堅実な経営」「資金の安定調達・運用」「顧客ニーズに沿う」「リーダーシップの貫徹」と続き、
6位には従業員の育成が入っています。
従業員の育成は今後重視したい事の1位であり、以下、「販路拡大」「コスト削減」「後継者の育成」
「顧客ニーズへの取り組み」等が続きます。
◆調査結果を見て今後大事な事
アンケート結果を見て企業が存続して行くのに大事な事は次の3つになるでしょう。
ア、経営革新に取り組む
イ、社員を大事にする経営
ウ、継続後継者の育成
各々を検討してみますと、
アの経営革新については事業戦略と言う面と経営システムの革新と言う面があります。
社内システムでは仕事のやり方を変えるには直接影響を受ける社員への説明も必要になるでしょう。
イの社員を大切にする経営では育成が今後取り組みたい事の1位ではありました。
OJTやOFF-JTのどちらの研修も大事です。
しかしむしろやる気を高めるという点で「衛生要因」となる会社方針、職場環境、給与、対人関係等があり、
これが不十分であれば不満足と感じます。
もうひとつの「動機付け要因」では仕事内容、責任、目標達成、承認、昇進、成長などの
可能性を見出すことで満足が高まると言われています。
働きやすい職場環境と部下の成長につながる仕事を与え、
責任を持たせ評価処遇につなげる事で社員との信頼関係を築く事が大事です。
ウの継続後継者の育成は最も重要でしょう。
経営革新も社員を大事にする経営も取り組みの先頭に立つのが経営者です。
経営者がこれらの重要性を認識しなければ何も進みません。
会社の存続、社員の力の結集、市場環境の変化を読み取り経営革新を行う、業績を上げるだけでなく
企業倫理も意識する時代です。
実務能力と人的能力があり信頼される人柄が求められているでしょう。
民間投資を喚起する成長戦略の一環として、今年度の税制改正で創設された
「生産性向上投資促進税制」の1つに、「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」
を取得等した場合の投資減税があります。
◆制度の概要(適用要件)について
対象設備は、機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、構築物、
ソフトウエアで用途・細目についての制限はありませんが、
①投資計画における投資利益率が年平均15%以上(中小企業等は5%以上)で、かつ、
②最低取得額以上の要件を満たすことが必要です。
なお、投資利益率は、次の算式で計算することになっています。
投資利益率=(営業利益+減価償却費)の増額額(設備投資等をする年度の
翌年度以降3年度の平均額)/設備投資額(設備の取得等をする年度におけるその取得等する設備の取得価額の合計額)
しかし、この投資減税の適用にあたっては、事前に経済産業局の確認書の取得が前提となっています。
具体的には、経済産業局に生産ラインやオペレーションの改善に資する設備投資計画の確認申請書の提出、
そして、その前提として当該計画について税理士等の事前確認が必要で、その手続きは結構煩雑なものとなっています。
以下、この制度の適用にあたっての申請手続きを概観してみたいと思います。
◆確認申請手続きの概要
(1)申請書に記載すべき事項
確認申請書は、概ね、6項目から構成されていますが、ここでの記述のポイントは
①生産性向上設備等が事業者の事業の改善に資することの説明と
②基準(投資利益率15%又は5%)への適合状況の記述です。
例えば、①では、生産の歩留まり率を何%改善できるか等の説明、
②では、投資利益率の達成が可能である旨を数値等でその根拠を明示して記述する必要があります。
(2)税理士等の事前確認書
税理士等が、申請書と裏付けとなる資料に齟齬がないかどうか、特に、
「基準への適合状況」に記載されている数値には算定根拠資料があるかどうか等を確認し、投資計画との合致を報告するものです。
(3)申請者は、翌年度以降3年間、投資の実施状況を確認書の交付をうけた経済産業局に提出することになっています。
この制度、まるで補助金の交付を受けたかのような煩雑な手続きを求めており、その使い勝手はイマイチのように思います。
◆ポイント引当金とは?
近年の法人税の改正は「税率軽減・課税ベース拡大」の方向で進んでいますが、
その際に話題に挙がるものに引当金があります。
税務では債務確定主義の見地から見積計上である引当金は徐々に整理されてきましたが、
会計分野では、今日的な引当金も増えてきています。
大手携帯電話会社、家電販売店、百貨店等ではポイント引当金が問題となります。
これは、ポイント制度(商品購入・サービス利用の都度ポイントが付与され、
次回以降の購入・利用の際にポイントを使用できる制度)を採用している企業に用いられ、
NTTドコモのH25.3期連結決算では1,731億円、KDDIは916億円とインパクトが大きな数字を計上しています。
◆会計上は明確なルールはないが…
金融庁ではH20に「ポイント及びプリペイドカードに関する会計処理について」を公表しています。
この時点ではポイント発行について明確な会計基準はなく、
発行企業が企業会計原則等を考慮しながら個別対応している状況で、
売上値引処理か販管費処理とするかなどスタンスの違いが見られました。
それでもポイント制度が定着し、過去の実績データも蓄積してきたため、
「ポイント使用時」に費用処理するとともに、未使用ポイント残高に過去の実績(失効率)を加味して引当計上する
流れが出来つつあったとのことでした。
現時点でも状況は変わりませんが、IFRS導入企業は「ポイント発生時」に費用認識するため、
計上時期の変更による影響が大きいと言われています。
◆中小企業は「金品引換費用の未払計上」
中小企業の場合には、法人税基本通達にある「金品引換費用の未払計上」を用いることが考えられます。
これは①金品引換券が販売価額等に応ずる点数が表示されており、
②たとえ1枚の呈示でも引き換える制度ならば、次の算式による金額を、
商品の販売事業年度(ポイント発生時)に損金経理により未払計上できるというものです。
【1枚又は1点について交付する金銭の額×その事業年度に発行した枚数・点数】
蓄積型ポイント制度による場合や、値引処理とされる場合には、
確定債務と同視しがたいものとして適用できないケースもあるようですので、
税務も考慮したキチンとした制度設計が必要です。
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